老いの一筆

昔、銭湯で年寄り連が湯船につかりながら、政治談義に花を咲かせていました。今は、私がその年寄り。世事・世相を飾り気なしに語り合う伝統を銭湯ならぬネットで守り続けたいと思います。

いじめ ある小学校での講演

  “どこにも”小学校の皆さん、こんにちは。

  このおじいちゃんはね、今、校長先生のお話にあったように、みんなと同じ歳の時、同級生にとてもいじめらたの。

  初めに、みんな聞いてみようかな。いじめに遭っている人は手を上げてごらん。おやおや一人もいないの。それじゃあ、いじめをしている人はどうかな。手をあげてごらん。あれ、一人もいないの。

  今度は、みんな、目をつぶってもらおうかな。校長先生も教頭先生も、後ろで参観しているお母さんたちも、つぶってくださいね。はい、いいですよ。もう誰にも分らないからね。また、聞きますよ。いじめられてる人、手を上げてごらん。ふんふん、では、いじめている人は、手を上げてごらん。ふんふん。

  さ〜て、みんな、目を開けていいですよ。校長先生と教頭先生にお聞きしましょう。いじめられている児童といじめている児童がそれぞれ何人いたと思いますか。答えられないですって。困りますね。それでは、お母さん方にお聞きします。自分の子供がどちらかにでも手を上げたと思う人はいらっしゃいますか。おやおや誰もいない。

 手を上げた君たち、分ったでしょう。校長先生や教頭先生なんか、何にも分っていないということが。自分の親も分っていないということが。いじめなんか、大人に頼ってはだめなの。これから、おじいちゃんが教えてあげるね。

  それはね、いじめっ子とは、いつかは、別々になるんだと、いじめられるたんびに思うことなの。中学校にいけば、クラスが違うようになるでしょう。中学が一緒になっても、その先では、別々になるよね。おじいちゃんが我慢できたのは、そういう訳。

  もう一つはね、昔の中国の英雄で、韓信と言う人がいてね、子供のころ、ガキ大将から、股をくぐらされたと言う話。おしっこ臭いガキ大将の股だから、これほど、いやなことはないよね。それでも、平気でくぐったの。どうしてかというと、自分が大きくなったら、偉い人になるのだから、こんなガキなんかまともに相手にできるかと、心の中でバカにしていたんだね。心の中って、とても大切なんだよ。

  自分で分っているのに手を上げないウソつきいじめっ子は、将来どうせロクな人間にならないから、いいんだけど、いじめられっ子も、ロクな人間にはならないんだよ。いじめられっぱなしだと、自分よりもっと弱い人や動物をいじめるようになるからね。寝ているお父さんやお母さん、妹を殺してしまったり、じゃれついてきた犬や猫を簡単に殺してしまうなんて、いやだよね。そんなたいへんな事をしなくても、いじめっ子と一緒になって、自分をいじめることだっておきてくるの。自殺だね。みんなは、これからなが〜く生きていくのだから、2年や3年のいじめなんか、気にしちゃあだめだよ。死んでしまうと、大人になってから沢山待っている楽しいことが、できなくなっちゃうし。

  これで、おじいちゃんのお話は終わり。冷酒の同じで、後になってよく効くからね。冷酒って知らないって。これも、大人になればわかるよ、それまで、お預け。

  それから、先生方にお願いする。職員室には必ずいじめが渦巻いているはず。そうでなければ、世間知らずを自覚してもらいたい。いずれにしても、子供のいじめなんか、論じる資格はない。もちろん、教育委員会なんか不要の長物だ。事件が起きる度に謝罪するが、はっきり、私たちにはその能力はありませんと、言えばいい。何かというと、すぐ、いじめられっ子をちやほやする。甘やかせば甘やかすほど、いじめは増長する。

  また、後ろのお母さん方に言いたい。旦那に頼んで、大人の世界のいじめがどれほど陰湿かを、子供に語ってやるように。子ども時代のいじめは、その耐性強化にどれほど役に立つことか。いじめる側は人間社会、絶対になくならない。いじめをなくす運動や活動は、まったくの偽善だ。こんなのに頼ってはいけない。

  徒然草 第百八十八段
  一事を必ず成さんと思はば、他の事の破るるをもいたむべからず。人の嘲りをも恥づべからず。〜

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