石巻は養殖カキの産地である。その中に韓国産のカキが交じって仲買人に渡ったということで、数年前、ローカル規模ではあったが大問題になった。例によって、風評被害、再発防止等々、がたがた騒がれた。最近では、老舗(しにせ)が牛肉産地を偽っていることが発覚して、全国規模のスケールで大問題となっている。
私は、ここで、ふと立ち止まる。前に、内部告発奨励条例を作れと提言したし、牛頭豚肉は、お家取り潰しの罰を与えるべしと主張した。しかし、それだけでは、片手落ちというものだ。
買う側のことだ。彼らは、豚肉を牛肉と信じて、牛肉相応の対価を払って買っていく。そして、対価にふさわしい満足度で、賞味する。「なんだこりゃ、豚肉を食わせやがって」など、ついぞ、口からでない。カキも同じ。酢カキ、カキナベ、冬の定番だが、石巻産と信じて、韓国産のカキを食べても、「なんだこりゃ、輸入カキを食わせやがって」などと苦情は起きなかった。比内地鶏とブロイラー、但馬牛と九州牛、みな、同じ。払う金が高ければ高いほど、ありがた味が増大する人間心理が働いていく。
ならば、いっそのこと、知らないままで、過ごす方がよかったのではないか。なまじ、内部告発などするものだから、知ったとたんに、だまされたとなり不愉快になってしまう。但馬牛を毎年お歳暮に送っていた人も、それを受け取っていた人も、妙な気分になることだろう。(ついぞ、お歳暮など届けられたことがないので、“妙な”としかいいようがない)
高い金を払える人間は、払えばいい。騙されたとわかったら、身の程を過ぎた奢りのしっぺ返しと猛省すればいい。味に違いがあるじゃなし、貧乏人は真性ブロイラーを食うこととし、九州産だろうがオーストラリア産だろうが並みの牛肉をありがたがって食うことだ。私なんぞ、牛肉といえば、最近できたスーパーの“愛犬用牛スジ肉”500グラム100円のほか眼中にない(今は値上がりして300グラム100円)。高い金を払って、いわゆる高級食品をありがたがって求めるブランド志向の愚か者をせせら笑いながら、我が家の犬と分け合って食べるスジ肉のうまいことといったら。(負け惜しみに聞こえるなぁ)
いたちの最後っ屁ではないが、一言。テレビで、「もう、何を信じたらいいのかわかりません」と不平をいう主婦たちよ、己の五感を棚に上げて誰に文句を言っているのだ。大和なでしこはここまで、他力本願になっているのだ。嘆かわしい(断っておきますが、うちのカミさんは別です)。


