老いの一筆

Fair is foul, and foul is fair – Macbeth Act 1 SceneⅠ・・・きれいはきたない、きたないはきれい

外国語 ― 技術英語は間違ってとられなければ可とする

蒸し暑くて、たまらない。
梅雨が長引いている感じだ。
秋になれば、お倉入りになるのが分かっていても、除湿機が欲しい。

大型家電店が近くに2店あっても、そこまで行くのが辛い。それでネットで注文した。

品物が届く前に、メールが届いた。

・・・・

初めまして、よろしくお願いたします。
1.弊社XXXXXX 新型静音ミニ除湿機製品ご注文いただきありがとうございます。
2.我々の製品外観、材料、機能、梱包、価格などについて、貴重なご意見を賜りますようお願い申し上げます。お客様が完璧なユーザー体験を持つためです。また、多くのお客様によくサービスするためです。お客様の要求に応じて、我々がきっと製品の改善に頑張ります。
3.製品を受け取った後、使用時下記事項をご注意ください。

(1)除湿不要時、オープンを押して電源コードを抜いてください。
(2)風の出入り口を塞がないように注意してください。製品の周りには100㎜ぐらいの隙間を用意してください。それにタンクもきちんと置いてください。
(3)水漏れを防止するため、水平な場所には除湿器をおいてください。
(4)除湿器は電源を入れると、電源ランプが点滅する時:
①タンク内の水の状況を確認してください。満水になっていると排水してください。
②タンク内の浮き球の状況を確認してください。引っかかったら元の位置に戻ってください。
(5)除湿範囲は10平メートル以内に効果が最も良いです。窓を開けない、密閉なスペースにより良い。密閉しない部屋には、空気の流れで、湿気がまた入ります。
(6)湿度80%以上に、温度が30度に除湿器がベスト効果が達します。この除湿器が、環境快适性によって設計するものです、湿度が低い時、除湿能力もだんだんに下げます。除湿器の目的は、优れた快适性環境を保持するのです。
(7)一定の数値の温度と湿度の場所に使用してください。温度は低いと湿度も低くて除湿は必要ではありません。
(8)使用後オープンを押して電源コードを抜いてから、風の入口のほこりと異物をやわらかい布で洗浄してください。
4.もし他の問題があれば、いつでもご連絡ください。
お忙しいところご迷惑をかけ、大変申し訳ございません。
今後機会があれば、よろしくお願いたします。

・ ・・・・

製品は中国製なら日本語も中国製である。

おかしな日本語にアンダーラインをつけようかと思ったが、野暮なのでやめておいた。

現役時代の私の英語もこのようなものだったろうから。


付:
1.ネイティブにチェックしてもらえば、それで済むかと言えば、否です。高校国語でいい成績を上げなかった日本人に日本語を診てもらうことはできても、質の高い日本語に書き直すことはまず無理でしょう。
2.6の「除湿器の目的は、优れた快适性環境を保持するのです」は頂けません。構文がおかしい。「保持することです」または「保持することにあります」でなければいけません。意味は分かるのでよしとしますか。問題は、漢字です。「优」と「适」の2字はほとんどの日本人にとって「未知との遭遇」でしょう。大陸中国だけでしか通用しない漢字です。それぞれ優と適です。
3.注文する前にこんな文を知ったら、私は注文しませんでした。品質管理に日本人がいないことの証拠だからです。
4.Made in Chinaの製品取り扱い説明書は、傑作が多く、読んで飽きません。楽しむのは悪趣味気味ですが。
5.この文は言い回しから判断しますと、英文から日本語に中国人が訳したものでしょう。

The IliadかDon・Quixoteか

知的生活の後に、何を読むか。

Iliadは前々から読んでみたいと思っていた。相当の心構えで向かうことになるのが分かっているから、二の足を踏んできた。

それと並行して候補に上がっていたのが、Don・Quixote。子供の頃、風車に向かって突進する騎士として知っていたから、センチメンタル・ジャーニーには適当である。

ガリバー旅行記やロビンソンクルーソーで、子供向けと思っていた作品が、実際は大人の鑑賞に十分耐える以上のものであることを知ったので、このドン・キホーテも原作(翻訳だが)に当たる価値はあるにちがいない、そう思ってドン・キホーテに決めた。

さらにこれから夏場にかけての関東の暑さの中、構文であまり悩みたくないことも理由の一つである。

イーリアスは、涼しくなってからにした。

John Ormsbyの英訳。漢訳には注釈がふんだんに付いていて大いに助かる。

例によって、英訳と漢訳を気分で“スイッチング読み”する。

付:英訳のイラストが楽しい。疲れた頭の疲労回復にいい。

外国語 ― 構文と内容

英語と中国語に接してきて、遅ればせながら分かったことがある。

作品の難易度を構文と内容に分けて考えなければいけないということである。

グループ1.難しい構文 と 易しい内容
グループ2.難しい構文 と 難しい内容
グループ3.易しい構文 と 易しい内容
グループ4.易しい構文 と 難しい内容

グループ1:
18世紀以前の作品はほとんどこれに属する。
シェイクスピア、J.オースチンなど。
聊斎志異、西遊記、漢詩。
・永い試練に耐えて存在している作品で、和訳がある。最後の頼みの綱となる。

グループ2.
ラテン語、フランス語、ギリシャ語などが混じっている随筆。
Ch.ラムの随筆、de Quincey。
・ラテン語の教養が備わっている読み手が前提になっているのが随筆。ネット上のfree textに脚注の親切さは期待できない。ネットに教えを乞おうか迷っている。

グループ3.
千夜一夜物語。S.モームの作品。
翻訳本。
デカメロン、ジャン・クリストフ、戦争と平和、アンナ・カレーニナ、(英訳・漢訳共)、我是猫(漱石の中国語訳)。
・グループ2で疲れた時に読む。

グループ4.
地名、人名ほか作品当時の流行が出てくる作品。
現代随筆の大半はここに属する。
・フランク永井、向島、聖徳太子(お札)、小泉純一郎などが採り上げられた日本語の作品を100年後のアルゼンチンの知識人が読むことを想像すればいい。

無論、その中間がある。グループ共通として私がもっとも困難と感じるのは金銭価値である。お金が一度も出てこない文芸作品はまずない。

賭けた額がルーブル表示(戦争と平和)、a hundred gold pieces(千夜一夜物語)、O.ヘンリーの作品にでてくる米ドル。

特にO.ヘンリーの場合は貧乏を扱っている作品が多く、3ドルと4ドルの差に緊張感があるように感じる。感じるだけで、ヘンリーがなぜ4ドルでなく3ドルにしたのか、その意図までは汲み取れない。

米文学には黒人スラングが付き物。学校英語では避けているが、米文学講座で教えるべきである。(在学中は黒人英語が米文学の一部を占めていることは知らなかった。というより知ろうとしなかった。)

構文の難しには辞書で調べた単語群から連想・推測することで対処。
内容の難しさにはWikipediaを開くことで対処。
それで分かるなら可とする。
分からない部分が頻出すれば、その作品を諦める。

無理してまで読むべき本など一冊もない、楽しく読める本を読むこと、これが私の流儀である。

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