老いの一筆

Fair is foul, and foul is fair – Macbeth Act 1 SceneⅠ・・・きれいはきたない、きたないはきれい

聊斎志異と鞍替え代議士

都議会議員選では、民進党所属議員の中から小池知事の政党に鞍替えした者がいた。

その者が議員になったのは、己の人望によるものと思っていたのだろうか。そうでないことは、民進党の公認を受けたことで分かる。

風向きがおかしくなって、理屈をこねて、鞍替えしたのである。

失職を恐れたのである。

今日の聊斎志異に似たような話が出てきた。(私はなんども読んでいるから初めてではない)

三朝元老

3つの朝廷に次ぎ次と鞍替えして仕えた宰相のことである。

人々は、当然軽蔑して、対聯を彼の家に架けた。

一二三四五六七
孝悌忠信礼義廉

アンポンタン(王八蛋)を知らない今の若い人はさっぱり意味が取れないだろう。

上のは八がない。八を欠いている。だから亡八。

この八は、広漢和を開いたら、

仁、義、礼、智、孝、悌、忠、信

とあった。これをなおざりにした者という句である。広漢和では、亡八はばかものと訳されている。

それでは、孝悌忠信礼義廉は何を言っているのか。

上の句が8文字であるから、何か1個の漢字が欠けていることは分かる。それが何という漢字か、私は知らない。

手がかりは8にある。八を広漢和で調べることにした。載っていない。

そこで、柴田訳を見ることにした。

欠けていたのは、「恥」の字であった。
すなわち、不忠の元老を「無恥」と彼を周りが嘲ったのである。

民進党を離党して小池ファーストとやらに鞍替えした当選議員は、中国語の「無恥」、日本語の「恥知らず」を進呈する。

もう一つ。

鞍替えする議員はもとより恥知らずだが、それを受け入れる側も同程度の恥知らずである。

裏切った者は、いずれ自分を裏切る。それを承知で座席(議席)のために受け入れるのだから、「信」もない。

離党した時点で、代議士職は剥奪。その後、4年は立候補できない。

この位厳しくしなければ、鉄面皮代議士(国も地方も)はなくならない。

問題はだれもそれを決められないことにある。泥棒に泥棒用に縄を綯えというようなものだから。



付の1.
せっかく八を引いたのだから、手ぶらで引き下がらない。転んでも只では起きないというではないか。

八戒:
己を屈する
運にまかせる
行いを見る
一を守る
言を忘れる
己を省みる
神を存する
味を量る
(意味はよくわからない。十戒と比べるのも面白い)

八苦:
生苦
老苦
病苦
死苦
愛別離苦
怨憎会苦
求不得苦
五陰盛苦

(世界の文学はこれに反抗して生まれたのだ)
生きる喜び
老いて己の限界を知る
病に付して覚る五体のありがたさ
死の安らぎ(ご破算で願いましては)


八難:








(防衛省は火と刀と兵と三つも八難を保有している)

付の2.
鞍替え
芸者・娼妓などが勤め場所をかえること
(スーパー大辞林)
改版の時には、代議士も並べるべきです。プライド高い芸者・娼妓の了承が得られれば)

付の3.
落ち目の政党に我れこそは再興をと胸を張った代議士はこれまで一人としていない。


・・・・

巻之八 三朝元老

  某中堂,故明相也。曾降流寇,世論非之。老歸林下,享堂落成,數人直宿其中。天明,見堂上一匾云:「三朝元老。」一聯云:「一二三四五六七,孝弟忠信禮義廉。」不知何時所懸。怪之,不解其義。或測之云:「首句隱亡八,次句隱無恥也。」
洪經略南征,凱旋。至金陵,醮薦陣亡將士。有舊門人謁見,拜已,即呈文藝。洪久厭文事,辭以昏眊,其人云:但煩坐聽,容某頌達上聞。」遂探袖出文,抗聲朗讀,乃故明思宗御製祭洪遼陽死難文也。讀畢,大哭而去。

漢字の遊び

相変わらず聊斎志異を各駅停車の電車に乗って楽しんでいる。

車窓から眺めるデカメロンは、人情が中心。

千夜一夜物語は、商売が中心。

共に、起伏はあるが変化に乏しい。

聊斎志異は、この世からあの世まで、高貴から下賎まで、人間から動物・草木まで、知性の塊から貪欲の塊まで、一つの駅を過ぎる毎にまったく別の風景が現れる。

私はこれまで何往復したか。それでいて少しも飽きない。

今日の鬼令は、漢字の面白さが描かれている。

田 と 古、
回 と 呂、
囹 と 含、
困 と 杏。

他に何があるか。展先生は困った。

私は考えることは最初から放棄して、廣漢和で探した。

見当たらない。

それでは、下はどうか。

困 と 呆。

これだけ(回は既出として)。

以上、今日の臨時停車。


巻之七 鬼令

教諭展先生,灑脫有名士風。然酒狂,不持儀節。每醉歸,輒馳馬殿階。階上多古柏。一日,縱馬入,觸樹頭裂,自言:「子路怒我無禮,擊腦破矣!」中夜遂卒。邑中某乙者,負販其鄉,夜宿古剎。更靜人稀,忽見四五人攜酒入飲,展亦在焉。酒數行,或以字為令曰:「田字不透風,十字在當中;十字推上去,古字贏一鍾。」一人曰:「回字不透風,口字在當中;口字推上去,呂字贏一鍾。」一人曰:「囹字不透風,令字在當中;令字推上去,含字贏一鍾。」又一人曰:「困字不透風,木字在當中;木字推上去,杏字贏一鍾。」末至展,凝思不得。眾笑曰:「既不能令,須當受命。」飛一觥來。展云:「我得之矣:曰字不透風,一字在當中;……」眾又笑曰:「推作何物?」展吸盡曰:「一字推上去,一口一大鍾!」相與大笑,未幾出門去。某不知展死,竊疑其罷官歸也。及歸問之,則展死已久,始悟所遇者鬼耳。

付:
原文である。高校漢文の力で理解できる。白話訳(口語訳)は却って難しいのではないか。

ネットの「漢典」はありがたい ― 「柈」 

日本語で目に馴染んでいる漢字なら、中国語での意味はひどい間違いもせず推測できる。

初めての漢字や忘れた漢字はそうはいかない。

先ず文脈からこんなものだろうと見当をつけて、それから辞書の世話になる。

今朝の「柈」がその例である。


聊斎志異 巻之六 河間生

  河間某生,場中積麥穰如丘,家人日取為薪,洞之。有狐居其中,常與主人相見,老翁也。一日,屈主人飲,拱生入洞。生難之,強而後入。入則廊舍華好。即坐,茶酒香烈。但日色蒼黃,不辨中夕。筵罷既出,景物俱杳。翁每夜往夙歸,人莫能跡,問之,則言友朋招飲。生請與俱,翁不可。固請之,翁始諾。挽生臂,疾如乘風,可炊黍時,至一城市。入酒肆,見坐客良多,聚飲頗嘩。乃引生登樓上。下視飲者,几案柈飱,可以指數。翁自下樓,任意取案上酒果,抔來供生,筵中人曾莫之禁。移時,生視一朱衣人前列金橘,命翁取之。翁曰:「此正人,不可近。」生默念:狐與我游,必我邪也。自今以往,我必正!方一注想,覺身不自主,眩墮樓下。飲者大駭,相譁以妖。生仰視,竟非樓上,乃梁間耳。以實告眾。眾審其情確,贈而遣之。問其處,乃魚臺,去河間千里云。


シャープの電子辞書で発音を知ろうとしたが、出ていない。

部首から探す。発音はbanの4声である。

手元の現代漢語と中日大辞典はたきぎとなっている。香坂を見てもやはりたきぎである。

どう考えても「几案たきぎ飱」では不自然である。

そこでいつものように廣漢和を開いた。驚いたことに、載っていない。

最後の頼みは、最近知った「漢典」。

きちんと出ていた。

発音は、banの他にpanの2声があり、panは盤と同じ意味であるとなっている。

panから再び廣漢和を引く。

pan2声の所に載っていた。意味は「はち」・「たらい」

これでようやく納得。

現代漢語は名の示すように今の中国語の辞書である。だからpanがなくても文句はつかない。

廣漢和は日本語としての漢字であるから、今の中国語のbanがなくても、これも文句はつかない。

しかし、中日大辞典は大(大げさの大)を付けている以上、書語・古語もカバーしていなければいけない。

嫌々ながら(私は以前この辞書を欠陥辞書と貶めた)引いて無駄足をしたのは自業自得と諦めた。

以上の“おびたすき”にくらべると「漢典」は神様仏様である。

コピペが自ずから示してくれる。

基本字义
● 柈
pán  
ㄆㄢ
 ◎ 古同“盘”,盘子。

其它字义
● 柈
bàn  
ㄅㄢ
 ◎ 〔~子〕方言,大块的木柴。



付の1:白話

河间生

河间县有个书生,在自家的场上积攒了一个像山丘那样大小的麦穰垛。家人天天从垛上撕麦穰烧,日子一长,把垛上撕了个洞。有一只狐就住在这个洞中,经常变化成一个老翁,去拜见书生。

一天,狐又变化成老翁,请书生去喝酒。到了麦穰垛前,狐翁拱手请书生入洞。书生很为难,狐翁再三邀请,书生才钻了进去。进洞一看,只见房屋走廊,华丽宽敞。坐下后,摆上来的茶、酒都芳香无比。只是日色昏黄,也分不清是白天还是晚上。喝完酒,出来再同头一看,又什么都没有了。

狐翁经常在晚上外出,直到第二天一早才回来,谁也不知他去了哪里。问他,便说是有朋友请他去喝酒。一次,书生请他带自己一同前去,狐翁不答应。书生再三恳求,狐翁才同意,挽住书生的胳膊,快如疾风地往前行去。走了有做顿饭的功夫,来到一个城市。二人走进一家酒店中,只见客人很多,一桌一桌地聚在一起喝酒,一片喧闹声。狐翁领着书生来到楼上,往下看下边喝酒的人,桌几上摆着的菜肴都历历在目。狐翁自己下楼,任意取拿桌上的酒果,捧上来让书生吃,喝酒的人竟一点也不察觉。过了一会儿,书生见楼下一个穿红衣服的人桌上摆着金桔,便请狐翁去拿。狐翁说:“那人是个正派人,我不能接近他!”书生听了这话,心里默想:狐跟我交游,一定是因为我有邪心的缘故;从今往后,我必定要做个正派人!刚想到这里,忽然身子不由自主,头一晕,从楼上掉了下去。楼下喝酒的人大吃一惊,都吵嚷起来,以为是妖怪。书生仰头往上一看,哪里有楼,原来刚才是在房梁上!书生将实情告诉了众人,众人审知他说的是实话,便给他路费,让他走了。书生问众人这是什么地方,得知是山东鱼台县,离河间县已一千多里路了。

付の2:
柴田訳は脚注にこの柈があります。さすがです。

付の3:
注音字母を改めて見直すと、外語中文系入学時を思い出します。次年度からローマ字のピンインに替わりました。

聊斎志異 「厍」と「库」

市街地暮らしに戻って早やひと月。大分落ち着いてきた。

聊斎志異も復活して、原文、白話、柴田訳を併読している。

今日は珍しい物に出合った。

人名が二つの中国語文と柴田訳が違っているのである。

その違いが、例えば「張」と「李」であれば、ただの違いで済ませるが、漢字の姿がよく似ているのが気になった。

前者では「厍」(ピンインではShe、日本語読みではシャ)、後者では「库」(Ku、コ)。

柴田天馬が原文の漢字を見間違えることは考えられない。と言って、ネットの原文と白話が揃って間違えることも考えられない。

恐らく、柴田の採用した写本が「庫」であって、ネットの写本が「厍」であったのだろう。

名前が内容にとって特別な意味はないようである。だからどちらでもかまわない。だから気分転換にはもってこいの材料である。


卷之六 厙將軍

  厙大有,字君實,漢中洋縣人。以武舉隸祖述舜麾下。祖厚遇之,屢蒙拔擢,遷偽周總戎。後覺大勢既去,潛以兵乘祖。祖格拒傷手,因就縛之,納款於總督蔡。至都,夢至冥司,冥王怒其不義,命鬼以沸油澆其足。既醒,足痛不可忍。後腫潰,指盡墮。又益之瘧。輒呼曰:「我誠負義!」遂死。

  異史氏曰:「事偽朝固不足言忠;然國士庸人,因知為報,賢豪之自命宜爾也。是誠可以惕天下之人臣而懷二心者矣。」


卷之六 厍将军

有个叫厍大有的人,字君实,是陕西省汉中洋县人氏。他是个武举人,隶属祖述舜部下。祖述舜给他的待遇很优厚,多次提拔他,并晋升他为后周的总戎。后来,厍大有感到后周政权大势已去,就秘密偷袭祖述舜。祖述舜在格斗中奋力抗拒,结果伤了手,被捆绑起来。

厍大有归顺了总督蔡毓荣。来到都城,梦中到了冥王府。冥王因为厍大有不讲道义,非常生气。命令小鬼用滚沸的油浇在他的脚上。厍大有醒来后,感到双脚疼得难以忍受。后来他的脚肿烂了,脚指全都脱落,又增添了疟疾,总是连声呼叫着说:“我实在是负义之人!”终于死去了。

付:
ネットの無料作品は英語も中国語も希ではありますが、OCRのチェック漏れがあります。私はそれを赤ペンでマークします。罪のない愉快なアラ探しです。

お星さまとお月さま 銀河高耿,明月在天

夜を語らない文芸作品は滅多にない。

小説然り、詩歌然り。

半世紀も文芸作品に接してくると、夜の表現がほとんどワン・パターンであることを知る。

夜に空は欠かせない。

夜空と言えば、月と星、雨雲は状況次第の限定版で、あまり見かけない。

満月の夜に満天の星。

結構こんな状況説明に出くわす。

私は、「ハハ~ン。また文士の筆だな」と微笑む。

満月の夜は、深い井戸の中でカエルと一緒に空を望まない限り、月の光で星は見えない。

これを蒲松齢先生、やってしまった。

いくら300年前の中国でも月夜に星空はない。

冬眠前にブログにしたが、出会う度に気になってしかたがないので、再度取り上げた。

聊斎志異 巻之二 

胡四姐

尚生,太山人。獨居清齋。會值秋夜,銀河高耿,明月在天,徘徊花陰,頗存遐想。忽一女子逾垣來,笑曰:「秀才何思之深?」生就視,容華若仙。驚喜擁入,窮極狎昵。自言:「胡氏,名三姐。」問其居第,但笑不言。生亦不復置問,惟相期永好而已。自此,臨無虛夕。
(以下略)

付:
1.耿 : 小さくぽっと明るいさま (藤堂漢和)
2.明月 : 1.晴れた夜の月 2.満月 (藤堂漢和)

FC2Ad